管楽器を録音する際のマイキングについて解説。最適なおすすめマイクも紹介!

音響機器の基礎知識

管楽器の録音では、その楽器の特性や形状に合わせて適切なマイクを選択し、最適な位置や角度に設置する必要があります。各楽器で音の出方や響きが異なるため、それぞれの楽器の特性を理解することも重要です。

本記事ではサックス、フルートをはじめ、さまざまな管楽器における適切なマイキングについて解説します。

サックスのマイキング

サックスは、音孔(指で開閉する本体の穴)とベル(管先端の開いた部分)の間から音が出ます。マイクを音孔に近づけると、キ―(音孔を塞ぐ部分)や運指の雑音も収音されます。

ソプラノサックスの場合、ベルが上向きに曲がっていないため、音孔とベルを同時に収音するためにはマイクに角度を付けます。

上記の内容を基に、サックスのマイキングを4種類紹介します。

5~15cm離してベルに向ける
明るい音質になります。ハウリングの恐れが少なく、周囲の不要な音を抑えやすい位置です。

5~15cm離して音孔に向ける
暖かく豊かな音質になります。キーや運指の雑音も収音されます。

③ 5~15cmベルから離して音孔に向ける
自然な音質になります。録音に適した位置です。

④ 小型のマイクをベルに留める
明るく力強い音質になります。周囲の不要な音が最も少なく、楽器の直接的な音が得られます。

サックスの録音に適したマイク

サックスの帯域は人の声に近いので、ボーカル用マイクでうまく収音できます。

マイクの位置を気にせず使用したい方は、楽器に直接取り付けできる小型マイクを使用しましょう。本章ではサックスの収音に適したマイクを2つ紹介します。

SHURE SM57

Shure【SM57-LCE】
ハンドヘルド型マイクロホン

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形式ダイナミック型
指向特性カーディオイド
周波数特性40Hz~15kHz
開回路感度-54.5dB re 1V/Pa
インピーダンス150 Ω
端子XLR(3P)
寸法φ32×全長157mm
質量284g
付属品マイクホルダー(A25D)
3/8″→5/8″変換ねじ
マイクポーチ

SHURE SM57はボーカル用マイクであるSM58と同一のカートリッジを採用し、楽器収音向けに設計したダイナミックマイクです。グリルの先端からダイヤフラムまでの距離が短く、ピンポイントに音源を狙いやすくなっています。

SM57は管楽器の録音に良く使用されており、サックスの録音にも適したマイクです。

Shure BETA 98H/C-X

Shure【BETA 98H/C-X】
楽器用マイクロホン

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形式コンデンサー型
指向特性カーディオイド
周波数特性20Hz~20kHz
開回路感度-56dB re 1V/Pa
最大音圧レベル163dB SPL(THD1%)
インピーダンス150 Ω
端子XLR(3P)
寸法マイクヘッドφ11mm
質量65g(マイクロホン部のみ)
付属品ウインドスクリーン(RK183WS)×2
ケーブルホルダー
アングルブレース(65A1963)
マイクポーチ

管楽器のベルに簡単に取り付けできるコンデンサーマイク BETA 98H/C-X。高い最大音圧レベルで、管楽器以外に木管楽器や打楽器にも対応可能です。

マイクヘッドの位置を自由に調整できるグースネックと、360度回転するジョイント部を組み合わせることで、ピンポイントで狙った位置にマイクを設置できます。

フルートのマイキング

フルートの音は、歌口側の開いた音孔(指で開閉する本体の穴)と歌口の両方から出ます。マイクを楽器に近づけるほど音質は良くなりますが、唇や息の雑音が目立ってきます。

ウインドスクリーンをマイクに取り付けると、この問題を軽減できます。

ここまでの内容を踏まえた上で、フルートのマイキングを2種類紹介します。

① 左手用の音孔と歌口の間から5~10cm離す
自然な音質で、息遣いも収音されます。息の音が気になる場合、ポップフィルターまたはウインドスクリーンをマイクに取り付けて対処しましょう。

② 演奏者の頭の後ろ5~10cmからマイクを音孔に向ける
自然な音質になります。この配置は演奏者の息による雑音を抑えることができます。

その他管楽器のマイキング

本章では、トランペット、ホルン、オーボエなど、その他管楽器のマイキングを紹介します。紹介する配置を基準として、距離や角度を微調整しましょう。

トランペット、コルネット、トロンボーン、チューバ

金管楽器の多くは指向性が強いので、マイクの軸をベル(管楽器の開いた部分)から外すと、高音域が少なくなります。

以下に紹介する距離を基準として、ベルとマイクの位置を調整し、高音域のバランスを取りましょう。

① ベルから30~60cm離す
マイクの軸上にベルがあると明るい音質になり、軸を外すと自然で柔らかな音質になります。

マイクを楽器に近づけると引き締まった音質になり、ハウリングの恐れが少なくなります。加えて、周囲の不要な音も抑えやすくなります。逆にマイクから離れると、より表情豊かな音質になります。

1本のマイクで2~3人の演奏を収音できます。

② 小型マイクをベルに留める
明るい音質になります。周囲の不要な音を抑えやすい位置です。

オーボエ、ファゴット

① 音孔(指で開閉する本体の穴)から30cm離す
自然な音質です。バランスの取れた音が得られます。

② ベル(管楽器の開いた部分)から5~10cm離す
明るい音質になります。ハウリングの恐れが少なく、周囲の不要な音を抑えやすい位置です。

ホルン

ベル(管先端の開いた部分)にマイクを向けます。この配置は自然な音質になります。

音量の変動が大きすぎないか、ミキサーなどの外部機器に装備されているVUメーターで確認しましょう。

本記事では管楽器を録音する際の適切なマイキングについて紹介しました。実際に録音する際には、マイクの指向性や距離なども重要になります。下記の関連記事も是非参考にしてみてください。


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