ミキサーは複数本のマイク、楽器などの音をまとめてスピーカーから出力するために必要となる機材で、音楽ライブやトークイベントなどには欠かせない音響機器です。
最近では、会社や学校のイベントやライブ配信など、さまざまな用途でミキサーが使用されており、個人で購入する方も多くなっています。一方で、ミキサーにはさまざまな種類と機能があり、用途に合った製品を選ぶためには一定の知識が必要です。
本記事では、初心者向けにミキサーを選ぶポイントを解説します。
ミキサーとは

ミキサーとは、入力された複数の音声信号をまとめ、音量やバランスを整えてからスピーカーに出力する音響機器です。

ライブやイベントでは複数のマイクや楽器を使用しますが、それぞれの音源でスピーカーやアンプを用意するのは、大変で非効率です。そこで、ミキサーを使って音を1つにまとめてから、ミキサーと接続したスピーカーで音を鳴らします。
ミキサーは音をまとめるだけでなく、音量バランスを整えたり、EQ(イコライザー)を用いて聴きやすい音に調整したりすることができます。機種によっては、リバーブなどのエフェクトを搭載しており、細かい音作りまでミキサーで完結することが可能です。
ミキサーの選び方

ミキサーは多様な機能を搭載しており、製品によって仕様が異なります。ミキサーを選ぶ際には、購入前に下表の項目について確認することが重要です。
項目 | チェック項目 |
---|---|
接続する機材の種類と台数 | ミキサーに必要な入出力端子は備わっているか |
必要な機能 | リバーブなどのエフェクトは必要か |
接続するスピーカーの種類 | パワーアンプは必要か |
本章では、どういった点を確認しておく必要があるのか、初心者向けに細かく解説します。
入力端子の数と形状

ミキサー選びで最も重要となるのが、入力端子の数と形状です。一般的なミキサーはチャンネル単位で入力端子が管理されており、モノラルの入力チャンネルにマイク用端子(XLR)とライン用端子(標準フォーン)が用意されている場合が多いです。

XLRは主にマイクを接続する端子で、標準フォーンはギターやキーボードなどの楽器を接続する端子です。例えば、XLRと標準フォーンの両方に対応した入力チャンネルが10個あれば、マイクや楽器を10個まで同時に接続することができます。
しかし、製品によってはXLR端子が用意されていないチャンネルが存在するので、注意が必要です。例えば、BEHRINGER XENYX 802Sは8チャンネルを搭載したミキサーですが、XLR端子は2つしかありません。

そのため、同時に使えるマイクは2本までとなります。また、XENYX 802Sにおける3/4、5/6、7/8チャンネルはステレオチャンネルとなっており、2チャンネルで1つの楽器に対応します。
【ステレオチャンネル】キーボードなど、ステレオで音を出す楽器の接続に使用する
つまり、同時に接続できる音源は5つまでとなり、そのうちマイクが使えるモノラルチャンネルは2つということになります。
このように、入力チャンネル数を把握するときは、端子の種類や構成まで見て、使用する予定の機材がすべて接続できるかを確認するようにしましょう。
出力端子の種類

出力端子は、スピーカーなどを接続する端子です。主に次のような機材を接続するために使用します。
機材 | 概要 |
---|---|
メインスピーカー | 客席に音を流すスピーカー |
ステージモニター | 演者が自身の演奏を確認するためにステージ内に設置するスピーカー |
ヘッドホン モニタースピーカー | サウンドチェックなどに使用するヘッドホン、スピーカー |
メインスピーカーを接続する端子は、メイン出力(MASTER)と呼ばれる出力チャンネルです。

メーカーによってMAIN OUTとも表記される
メイン出力で使用される端子はXLRとライン(標準フォーン)の2種類があります。普段使用するスピーカーの入力端子に合わせて、製品を選択するのが良いでしょう。
【補足】パワーアンプを搭載したパワード・ミキサーのメイン出力は、パッシブ・スピーカーとの接続で使用する、スピコンや2芯のスピーカー専用フォーンケーブルを接続できるスピーカー端子が採用されています。
続いて、演者が自身の演奏を確認するためにステージ上に設置する、ステージモニターについてです。

ステージモニターは、ミキサーのAUXに接続することが多いです。AUXは、メイン出力と別系統になっている補助の出力端子を指します。
ミキサー側の操作によってメイン出力とは異なる音量バランスにできるため、演者が聴きたい楽器の音だけをステージモニターに出力することができます。
なお、小型のミキサーにはAUXは搭載されていないことが多いです。ステージモニターを使用する場合は、ミキサーにAUXが用意されているか確認しましょう。
最後はサウンドチェックなどに利用するヘッドホン、モニタースピーカーです。それぞれ、ヘッドホン出力(PHONES)、モニター出力(MONITOR OUT)に接続します。

ミキサーのヘッドホン出力、モニター出力には、標準フォーン端子が採用されている製品が多いです。一般的なイヤホンやヘッドホンで採用されている、3.5mmステレオ・ミニプラグを接続するには、標準フォーンに変換する標準プラグアダプターが必要となるため注意しましょう。

ヘッドホン出力とモニター出力は、特定チャンネルの音だけを出力できる仕様の製品が多いです。
例えば、Soundcraft EFX12ではチャンネルごとにPFLスイッチが搭載されており、PFLスイッチをONにしたチャンネルの信号のみ、ヘッドホン出力とモニター出力に送られる仕様になっています。
【PFLスイッチ】プリフェーダー検聴スイッチ。フェーダーで音量調整する前の音をヘッドホン出力、モニター出力に送る機能。

このように、メイン出力、AUX、モニター出力で用途が異なります。大規模な会場では、すべての機能が必要になりますが、部室や小さいスタジオであればメイン出力だけで十分足りることも多いです。
自身が使用する環境に合わせて、必要な出力端子が備わっているか確認しましょう。
エフェクト

ミキサーは、音を整えるためのエフェクトを搭載しています。多くのミキサーで搭載されているのは、特定の周波数をブースト(増幅)、またはカット(減衰)できるEQ(イコライザー)です。
例えば、Soundcraft EFX12は、チャンネルごとに高域(HF)、中域(MF)、低域(LF)の3バンドのEQを搭載しています。

製品によっては、調整できる周波数帯域を細分化した、5バンドEQを搭載しているものもあります。音を細かく調整したい人は、EQのバンド数が多い製品を選択すると良いでしょう。
そのほか、リバーブやコンプレッサーなどを搭載しているミキサーもあります。ミキサーだけで音作りを完結したい場合は、リバーブなどのエフェクトを搭載した製品を選択しましょう。
パワーアンプの有無

パワーアンプとは、スピーカーで鳴らす際に十分な音量レベルまで信号を増幅するための機器を指します。このパワーアンプを内蔵したミキサーを「パワード・ミキサー」と呼びます。
ミキサーにパワーアンプが必要かどうかは、接続するスピーカーとの組み合わせによります。
スピーカーの種類 | 概要 |
---|---|
パッシブ・スピーカー | 電源不要のスピーカー。パワーアンプが別途必要 |
パワード・スピーカー (アクティブ・スピーカー) | パワーアンプを内蔵したスピーカー。スピーカーごとに電源が必要 |
パッシブ・スピーカーを使用する場合は、パワーアンプが必要となるため、「ミキサー」「パワーアンプ」「パッシブ・スピーカー」の3つでシステムを構成します。

パワード・スピーカーを使用する場合は、スピーカーにパワーアンプが内蔵されているため、通常のミキサーと直接接続することができます。

なお、最近ではミキサー、パワーアンプ、スピーカーが一体化したポータブルPAシステムと呼ばれる製品があります。

学校や会社などで使用する場合、日によって使用する場所が変わることも多いため、持ち運びしやすいポータブルPAシステムを導入するとよいでしょう。
ポータブルPAシステムは、スピーカーなどの必要機材が一体化しており、接続が簡単で取り扱いやすくなっています。機能も初心者向けにわかりやすく整理されている製品が多く、音響機器を初めて使用する方にもおすすめです。
おすすめのミキサー
Allen & Heath ZEDi-8

Allen & Heath【ZEDi-8】
アナログ・ミキサー
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形式 | アナログ・ミキサー |
入力 | マイク/ライン入力(XLR+TRS)×2 ステレオ入力(TRS)×2 |
出力 | メイン出力:XLR×2 Phone:標準フォーンジャック |
EQ | 2バンド |
寸法(W×H×D) | 249×88.9×236.4mm |
質量 | 約1.36kg |
アナログ・ミキサーとUSBオーディオインターフェースのハイブリッドモデル Allen & Heath ZEDi-8。自宅での録音から小規模イベントの対応まで、1台で幅広く対応できる便利なミキサーです。
マイクプリアンプには、上位機種より継承したGSPreプリアンプを搭載。24bit/96kHz対応のUSBオーディオインターフェース機能も備えており、スタジオクオリティの音質を実現しています。
各チャンネルには2バンドEQや、不要なノイズをカットするローカットフィルターを搭載し、手元の操作で細かく音を調節することができます。
【補足】ローカットフィルターは、モノラル入力チャンネルのみ搭載
自宅での録音、ポッドキャスト、小規模なライブイベントなどに対応できる、コンパクトで高音質なアナログ・ミキサーです。
BEHRINGER PMP500MP3 EUROPOWER

BEHRINGER
【PMP500MP3 EUROPOWER】
パワード・ミキサー(ボックスタイプ)
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形式 | パワード・ミキサー |
入力 | モノラル×4(XLR、標準フォーン) AUX(標準フォーン) ステレオCD(RCA) |
出力 | メイン出力:標準フォーン×2 モニター出力:標準フォーン×2 |
EQ | 2バンド(80Hz/10kHz、±15dB) |
パワーアンプ(最大出力) | 250W+250W(4Ω) |
寸法(W×H×D) | 289×108×159mm |
質量 | 3kg |
BEHRINGERのパワーアンプ内蔵パワード・ミキサー PMP500MP3 EUROPOWER。250W(4Ω)×2の高性能パワーアンプを内蔵し、パッシブ・スピーカーと組み合わせても十分な音量を出力することができます。
入力チャンネルには、高品位なマイクプリアンプを搭載。全入力チャンネルに2バンド・ブリティッシュEQが装備されており、個別に音を調整できます。加えて、マイク入力にはリバーブを搭載しており、音作りもミキサーで完結できます(リバーブの設定は一括)。
また、ミキサーにMP3プレイヤーを内蔵しており、音楽データの入ったUSBメモリーを接続すれば、音源として使用することも可能です。
Soundcraft EPM6

Soundcraft【EPM6】
アナログ・ミキサー
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形式 | アナログ・ミキサー |
入力 | モノラル×6(XLR、標準フォーン) ステレオ×2(標準フォーン) |
出力 | メイン出力:XLR×2 モニター出力:標準フォーン×2 AUX×2:標準フォーン Phone:標準フォーン |
EQ | 3バンド |
寸法(W×H×D) | 280×91×363mm |
質量 | 4kg |
ライブコンサート、舞台など、幅広い分野で高い評価を得ているSoundcraftのアナログ・ミキサー EPM6。豊富な入出力端子を搭載し、音楽ライブ、学園祭、企業のセミナーなどさまざまなイベントに対応できます。
モノラル入力には高精度ヘッドアンプを搭載し、広いヘッドルームと低ノイズを実現。音質に定評のあるSoundcraftらしい、原音に忠実なサウンドが出力されます。
メイン出力とモニター出力のほかに、プリ/ポストフェーダーの切り替えに対応した2チャンネルのAUXを搭載。プリフェーダー信号をチャンネルごとに検聴できるPFLスイッチなども搭載しているため、本格的なPAシステムを構築することができます。
BEHRINGER QX2442USB XENYX

BEHRINGER
【QX2442USB XENYX】
アナログ・ミキサー
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形式 | アナログ・ミキサー |
入力 | マイク入力×10(XLR) モノラル入力×8(標準フォーン) チャンネルインサート×8(標準フォーン) ステレオ×4(標準フォーン) AUXリターン×8(標準フォーン) メインインサート×2(標準フォーン) 2-トラック入出力×4(RCA) |
出力 | メイン出力:XLR/標準フォーン×2 サブバス:標準フォーン×8 コントロールルーム:標準フォーン×2 モニター出力:標準フォーン×2 AUX:標準フォーン×4 FX 出力:標準フォーン Phone:標準フォーン |
EQ | 1~8ch: 3バンド(80Hz/可変/12kHz)、±15dB 9~16ch: 4バンド(80Hz/500Hz/3kHz/12kHz) |
寸法(W×H×D) | 445×140×440mm |
質量 | 5.7kg |
豊富な入出力を備え、大規模なPAシステムにも対応できるアナログ・ミキサー BEHRINGER QX2442USB XENYX。メインの入出力端子に加え、AUXのリターン・センドやステレオバス、コントロールルームなどを備えた高機能ミキサーです。
入力チャンネルには高品位なマイクプリアンプを採用し、モノラルチャンネルにはMID可変の3バンド・ブリティッシュEQ、ステレオチャンネルには4バンドEQを搭載。
更には、スタジオグレードのコンプレッサーやリバーブなどのエフェクトを内蔵しており、音作りまでミキサー内で完結することができます。
AUXセンドは、ステージモニターの利用に便利なプリフェーダーと、外部エフェクトの接続に使いやすいポストフェーダーの3系統が用意されており、高度なPAシステムを構築することができます。