PA用パッシブ・スピーカーの選び方とおすすめモデルをご紹介!

音響機器の選び方

音楽ライブやセミナーなど、イベントを行う際に欠かせない音響機器である「PAスピーカー」。そのなかでも、パワーアンプを自由に組み合わせることができ、拡張性に優れているのがパッシブ・スピーカーです。

本記事では、初心者向けにパッシブ・スピーカーの選び方を解説し、おすすめ商品についてもご紹介します。

パッシブ・スピーカーの選び方

パッシブ・スピーカーとは、内蔵のパワーアンプを持たないスピーカーのことを指します。

スピーカー本来の役割である、「電気信号を空気の振動に変換すること」に特化したスピーカーです。

パッシブ・スピーカーは、組み合わせるパワーアンプやミキサーを自由に変更できるため、求めるサウンドや使用環境に応じて、システムを柔軟にカスタマイズできます。

本章では、パッシブ・スピーカーを選ぶポイントについて解説します。

パワード・スピーカーとの違い

パワーアンプを持たないパッシブ・スピーカーに対して、パワーアンプを内蔵したスピーカーをパワード・スピーカーと呼びます(アクティブ・スピーカーと呼ばれることもあります)。

パワード・スピーカーは、マイクやミキサーを直接接続できるため、少ない機材でシンプルなPAシステムを構築できます。

一方、スピーカーがパワーアンプを内蔵しているので、違うパワーアンプと組み合わせることはできず、パワード・ミキサーのメイン出力とは直接接続できません。

加えて、スピーカーごとに電源が必要となるため、配置やシステム構成に制約が生まれやすいです。

逆に、パッシブ・スピーカーはパワーアンプを持たないため、後から自由に組み合わせを変更することができます。

加えて、パッシブ・スピーカーは電源を必要としないため、配置の自由度も高いです。

一方、パワーアンプを別で用意する必要があるので、システム構成や配線は複雑になりがちです。

スピーカーの役割で選ぶ

PAでは、用途にあわせて複数のスピーカーを組み合わせて使用します。

一定の規模がある音楽ライブでは、下表の3種類のスピーカーを組み合わせて、環境を構築することが多いです。

スピーカーの役割概要
メインスピーカー客席に音を届けるスピーカー
サブウーファーメインスピーカーのみでは低域が足りない場合、それを補うスピーカー
ステージモニター演者が自身の演奏を確認するために、ステージ内に設置するスピーカー

もっとも重要となるのが、客席に音を届けるメインスピーカーです。

メインスピーカーには、低音から高音まで幅広い周波数帯域を1台で再生できる、「フルレンジPAスピーカー」を用いることが多いです。

しかし、体育館や講堂のようなホールクラスになると、フルレンジPAスピーカーだけでは低域が不足することがあります。そこで活躍するのが、サブウーファーです。

サブウーファーは、低音域を再生するためのウーファーユニットが内蔵されており、厚みと迫力のある低域を表現できます。

基本的に、サブウーファー単体で運用することはなく、メインスピーカーと併用し、互いの不足部分を補完して強化する目的で使用されます。

3つ目のステージモニターは、演者が自身の演奏を確認するためのスピーカーです。フロアモニターや転がしと呼ばれることもあります。

ステージモニターは、観客の視線を遮らないように、高さが抑えられたスピーカーが採用されます。

メインスピーカーの中には、横置きにすることでモニタースピーカーとしても使用できる商品もあります。

用途にあわせて選ぶ

PAスピーカーを選ぶ際は、用途にあった大きさのスピーカーを選択することも重要です。

ここで重要となるのは、スピーカー・ユニットの大きさです。

メインスピーカーに採用されることが多い、「2Wayフルレンジ・スピーカー」では、1つのボディ(エンクロージャー)の中に、高域再生用のスピーカー・ユニット(HF:High Frequency)と中低域再生用のスピーカー・ユニット(LF:Low Frequency)が入っています。

高域は、ある程度の大きさがあれば十分な音量を鳴らすことができるため、どのスピーカーもHFのサイズは大きく変わりません。

一方、低域を担当するLFは、カバー範囲が広いスピーカーほどユニットが大きい、あるいは複数搭載されるようになります。

(参考)HK AUDIO PREMIUM PR:O Passive Seriesのスピーカー・ユニット

型番HFLow-/mid スピーカー
PREMIUM PR:O 81インチ8インチ
PREMIUM PR:O 10 X1インチ10インチ
PREMIUM PR:O 121インチ12インチ
PREMIUM PR:O 15 X1インチ15インチ

ここまでの内容を踏まえたうえで、使用する用途にあわせて、必要なスピーカーの大きさを考えることが大切です。

例えば、スピーチであれば低域はそこまで重要ではなく、次章で説明する「許容入力」が会場の規模間とマッチしていれば問題はありません。

一方、音楽ライブでは低域はとても重要です。

十分な音量が確保できても、低域が足りないと、ライブの魅力である臨場感が演出できません。

音楽ライブで使用するスピーカーは、LFの大きさや数が十分であるかを確認しましょう。

クラブミュージックなどの低域が重視されるジャンルでは、低域の量感を豊かにするために、サブウーファーを足すのも有効です。

許容入力を確認する

許容入力とは、スピーカーが壊れずに正常に動作し続ける電気信号の大きさを意味します。単位はW(ワット)です。

パッシブ・スピーカーは、パワーアンプから増幅した電気信号を受け取りますが、許容入力を超えた電気信号を受けると、スピーカーの破損に繋がる危険があります。

そのため、パワーアンプの出力とスピーカーの許容入力を確認した上で、適切な組み合わせを検討する必要があります。

スピーカーの許容入力は、下表の3種類で記載されます。

種類概要
RMS連続して安全に処理できる電力量。定格入力とも呼ばれる。
PGM短い時間なら処理できる電力量。
PEAK瞬間的に耐えられる最大の電力量。

基本的にはRMSを基準値として、最大でもPGMの値で収まるように組み合わせを検討するのがよいでしょう。具体的には、パワーアンプの出力が、RMSの0.8~1.25倍程度に収まるのが適切です。

例えば、HK AUDIO PREMIUM PR:O 10 Xを例に見てみましょう。

許容入力許容入力(RMS):300W
許容入力(PGM):600W
許容入力(PEAK): 1200W

PREMIUM PR:O 10 XのRMSは、300Wに設定されていますので、出力が240W~360Wのパワーアンプを組みあわせるのが適切です。

なお、目安として屋内での音楽ライブにおいては、観客1人あたり3~5Wの出力が推奨されます。例えば、収容人数100名規模の会場であれば、RMSが300W~500W以上のスピーカーを選択すると良いでしょう。


ここまで、パッシブ・スピーカーの選び方を解説しましたが、スピーカー選びはケースバイケースになることが多く、判断が難しいです。

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おすすめのパッシブ・スピーカー 4選

「FULL-TEN」のベテランスタッフがおすすめする、パッシブ・スピーカー商品をご紹介します。

コスパに優れたフルレンジPAスピーカー BEHRINGER / PK110

BEHRINGER【PK110】
パッシブPAスピーカー

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周波数レンジ±3 dB :87 Hz ~35 kHz
-10 dB :20 Hz~20 kHz
ドライバー構成HF: 1インチ
LF: 10インチ
許容入力480W(ピーク時)
コネクタースピコンタイプ
寸法(W×H×D)491 x 315 x 261 mm
質量約7.2kg

安価で小型ながらも、迫力のある音圧を出力できるパッシブ・スピーカーBEHRINGER / PK110

HFに1インチコンプレッションドライバー、LFに10インチロングエクスカーションドライバーを採用。深く厚みのある低音と、クリアで抜けのよい高音を実現しています。

持ち運びやセットアップに便利な、エルゴノミカルな形のハンドルを搭載し、幅広い用途で使いやすいスピーカーです。

高性能フルレンジPAスピーカー HK AUDIO / PREMIUM PR:O 10 X

HK AUDIO【PREMIUM PR:O 10 X】
パッシブPAスピーカー

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周波数レンジ±3 dB: 95Hz ~ 19kHz
-10 dB: 80Hz ~ 19kHz
ドライバー構成HF: 1インチ
Low-/mid スピーカー: 10インチ x 1
許容入力許容入力(RMS):300W
許容入力(PGM):600W
許容入力(PEAK): 1200W
最大音圧レベル(ピーク@ 10 % THD)126 dB ハーフスペース
コネクタースピコン NL4 x 2
寸法(W×H×D)320 x 485 x 300 mm
質量12.5kg

熟練した職人による技術力と、メーカー本社による行き届いた製造管理により、優れた品質と高い信頼性を実現したHK AUDIO / PREMIUM PR:O 10 X

本シリーズは、ヨーロッパ圏で20万台以上の販売実績を誇り、定番スピーカーの1つとして支持されています。

HK AUDIOによって独自にチューニングされたサウンドは、厚みと迫力のある低域と明瞭度に優れた高域を両立できているところが特長。

バランスの取れたサウンドで、ライブPAから講演のスピーチまで、幅広い用途で活躍できるPAスピーカーです。

ステージモニター JBL PROFESSIONAL / JRX212

JBL PROFESSIONAL【JRX212】
ステージモニタースピーカー

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周波数レンジ(-10dB) 60Hz~20kHz
ドライバー構成LF M112-8(12インチ(305mm))
HF 2414H-C(1インチ(25mm))
許容入力250W(連続)
最大音圧レベル(1m)128dB SPL(ピーク)
コネクター4Pスピコン×1
標準フォーンジャック(2P)×1
寸法(W×H×D)571×400×325mm(除突起部)
質量19kg

JBL PROFESSIONALのステージモニター JRX212は、クリアな高域とパワフルな低域をバランスよく出力し、設置するだけで優れたモニター環境を構築できるパッシブ・スピーカーです。

ホーンには、優れた指向制御を実現する独自のPT(Progressive Transition)ウェーブ・ガイドを搭載。

指向角度(水平×垂直) 50°×90°に対して、クリアな高音を均一に出力します。

本体には2つのポールソケットを備えており、メインスピーカーとしても、モニタースピーカーとしても利用可能です。

サブウーファー JBL PROFESSIONAL / JRX218S

JBL PROFESSIONAL【JRX218S】
サブウーファー (パッシブ)

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業務用途ならビジネス会員がお得♪

周波数レンジ(-10dB) 34~250Hz
ドライバー構成 LFM118-4(18インチ(457mm))
許容入力350W(連続)
最大音圧レベル(1m)133dB SPL(ピーク)
コネクター4Pスピコン×2
寸法(W×H×D)520×600×560mm(除突起部)
質量36kg

JBL PROFESSIONALのサブウーファー JRX218Sは、18インチの大型低域ドライバーを搭載し、パワフルで質感豊かな低域を出力するパッシブ・スピーカーです。

エンクロージャーには、強固な19mmのMDF板を使用し、外側を耐衝撃性に優れたカーペットで仕上げており、過酷なライブ環境に対応できる優れた耐久性を実現しています。

ポールを使うことで、JRX218Sの上部にフルレンジ・スピーカーを設置することが可能です。


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