音に対する位相の関係と干渉効果について解説。マイク録音での注意点も要チェック!

音に対する位相の関係と干渉効果 音響機器の基礎知識
音響機器の基礎知識

位相とは、音波などの周期的な現象における、とある周期中の位置を示す量を指します。
音波の位相は常に波の開始点である0°から相対的に表され、0°では圧力の変化もゼロになります。

そして、90°で正圧域はピークとなり、180°で圧力の変化は再び落ち、270°で負圧域のピークに達します。その後、360°で圧力の変化はゼロに上昇し、次のサイクルを開始します。

コンサート音響、舞台音響などのSR(Sound Reinforcement)では、同じ音源を複数のマイクで収音することが多く、異なる位相の音波が混在します。本記事では、その際にどういった現象が起こるかについて、解説します。

位相の関係

まず、全く同じ2つの音波が同時に開始する関係を「同位相」と呼びます。両者は足し合わされて、振幅が2倍の1つの波になります。

続いて、全く同じ2つの音波について、一方の波の180°の点から他方の波が開始する関係を「逆位相」と呼びます。この場合、2つの波は完全に打ち消し合い、この現象を位相キャンセルと呼びます。

そして、周波数は同じで波の開始点が異なる音波を合わせる場合、2つの波には「ずれ」があり、これを「位相ずれ」と呼びます。位相ずれがある音波を合成した波の開始点は、元の波が開始する2つの点の間のどこかになります。

合成された波は、元の波と周波数は同じですが、位相の違いによって振幅は大きくなることも、小さくなることもあります。この場合、位相ずれは、2つの同一の波について0°の位置が一致していないことを示しています。

ほとんどの音波は、単一の周波数ではなく、多くの周波数から構成されています。複数の周波数からなる音波について、同一のものを合成したとき生じる波は、以下の3つのどれかになります。

① 音波が互いに同位相の場合全ての周波数において、振幅が2倍になる
② 音波が互いに逆位相の場合全ての周波数において、完全に打ち消し合う
③ 音波に位相ずれがある場合さまざまな周波数で部分的に打ち消し合ったり、強め合ったりする

音楽のSRでもっともよく見られるのは「③ 音波に位相ずれがある場合」です。

この場合、突出部(ピーク)と減衰部(ディップ)で構成された櫛の歯に似た形の周波数特性となり、これを「櫛形フィルター」と呼びます。突出部、減衰部の深さや位置は位相ずれの程度によって変化します。

マイクの収音において、上記の事象が起こるパターンは主に以下の2通りがあります。

  1. 2本(またはそれ以上)のマイクが異なる距離で同じ音源を収音する場合
  2. 「直接音」と「直接音が遅れてきたもの」を1本のマイクで収音する場合

まず、2本(またはそれ以上)のマイクが異なる距離で同じ音源を収音する場合は遠くにあるマイクのほうが、音が到達するまでにより長い時間がかかるため、マイクからの信号をミキサーで混ぜ合わせた際に位相のずれが生まれます。

ここで発生する櫛形フィルターの影響は、マイクに音が到達する時間の差によって変わりますが、時間差が大きい(距離差が長い)場合、櫛形フィルターは低い周波数から始まり、時間差が小さい(距離差が短い)と、櫛形フィルターは高い周波数へ移動します。

2つめの「直接音」と「直接音が遅れてきたもの」を1本のマイクで収音する場合では、元の音源が複数あったり、元の音が音響的に反射したりすることにより、遅れが発生することに起因します。例えば、2つ以上のスピーカーを搭載したギターアンプや、1つの楽器に複数のキャビネットを使用する場合などがこのパターンに該当します。

遅れた音はマイクまで、より長い距離を経由するため、直接音に対して位相の差を持ち、これらの音がマイクで混ざり合うことで、櫛形フィルターが発生します。

櫛形フィルターによる影響度合いは、マイクと反射面との距離、または複数の音源間の距離によって変わります。

マイクにおける位相の問題

音楽のSRでしばしば見られる位相の問題の1つに、ドラムセットや楽器用アンプなどで2本のマイクを同一の音源に近接して設置する場合が挙げられます。

このケースはマイクに到達する音の位相が関係していることが多く、2本のマイクが同一の音を違う距離で収音することにより、位相が打ち消し合ったり、強め合ったりしている可能性があります。

また、2本のマイクが同じ音波を収音しながら、逆の圧力域(180°の位相ずれ)があるとき、位相の打ち消し合い(位相キャンセル)が生じます。
通常、この状態は好ましくないため、指向性が異なるマイクを使い、不要な音の収音を減らすことや、物理的に遮音することも検討しましょう。

ドラムセットの場合は、それぞれのドラムを物理的に遮音することは不可能なので、軸外音の除去性能を重視してマイクを選定すると良いでしょう。


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