ワイヤレスマイクの選び方を解説。ライブ用にもおすすめなハンドマイクもご紹介！

ライブシーンからセミナー、イベントなど幅広い用途で使われるワイヤレスマイク。以前と比べ、安価で設定も簡単な製品が増えたことで、導入される機会が増えています。

しかし、ワイヤレスマイクの導入は敷居が高いと感じる方もまだまだ多いです。本記事ではライブやイベントで使うハンドタイプのワイヤレスマイクについて選び方を解説し、おすすめの製品を紹介していきます。

ワイヤレスマイクの特徴と選び方

ワイヤレスマイクはケーブル不要で接続可能な無線型のマイクを指し、マイク型送信機と音声信号を受け取る受信機のペアで構成されています。

製品によって、使用する周波数帯域が異なり、同時使用可能な台数や伝送距離も変わります。製品を選ぶ際には、仕様の違いで具体的にどのような影響が出るのかを理解することが重要です。

周波数帯域

A帯	放送事業者が業務用で使う帯域。使用するには免許が必要
B帯	一般で利用可能な帯域の中では出力も高く高品質。免許不要
C帯	音声等を必要最低限の明瞭度で拡声することができる。免許不要
2.4GHz帯	安価で高品質だが、Bluetoothなどと混線するリスクがある。免許不要

ワイヤレスシステムで使用される周波数帯域は上表の４つです。コンサートなどではA帯が使用されますが、免許が必要なのでプロ向けであり、一般のライブシーンでは主にB帯のワイヤレスマイクロホンが用いられます。

B帯は音声・楽器音等を比較的良好な忠実度、低ノイズで伝送することを目的としており、免許不要で利用可能な周波数帯域の中では出力も高く、高品質です。

また、最近は2.4GHz帯を利用したワイヤレスシステムも普及しています。

2.4GHz帯のワイヤレスシステムは音質が良く、安価で導入できる点が強みです。一方でWi-FiやBluetoothなどでも利用される周波数帯のため、混線などで電波が途切れやすいというデメリットがあります。

そのため、音楽ライブなど一瞬の音切れが致命的になるような用途ではB帯ワイヤレスシステムを用いるのが一般的です。

逆に会議や小規模セミナーなどは安価で便利な2.4GHz帯のワイヤレスシステムを用いることが多いです。

同時使用台数

グループでのライブやイベントの登壇では、複数のワイヤレスマイクを同時に使用することがありますが、製品によって同時に使用できる台数は決まっているため、自身の用途では何本程度のマイクを同時に使用するか想定して、製品を選びましょう。

また、基本的には送信機1台に対して受信機1台が必要です。仮に5本のマイクを同時に使用する場合は受信機も5台必要となります。
ただし、製品によっては送信機2本と2ch受信機がセットになっている製品もあります。

デュオでのライブや対談など、あらかじめ2本同時使用することが決まっている場合は設置スペースや導入コストが抑えられる2本セットの製品を選ぶと良いでしょう。

伝送距離

伝送距離は送信機と受信機が通信できる距離を指します。多くのメーカーで最大距離を記載しているため、環境によって伝送距離が変化することも計算に入れて余裕を持った製品を選ぶことが重要です。

伝送距離は使用する周波数帯域などによっても変わるため、30m程度のものから70m以上届くものまであります。収容人数が数百人程度のライブハウスや一般的な貸し会議室であれば、30mで十分足りるケースが多いです。

また、電波は障害物があると届きにくくなります。安価なモデルはアンテナ内蔵タイプやアンテナが取り外しできないタイプのものが多く、送信機から見える位置に受信機を置く必要があります。

対して、上位モデルになると着脱タイプのアンテナを採用したモデルが増えます。

着脱タイプは、前面や受信機から離れた場所にアンテナを設置したり、オプションの別売りアンテナと付け替えることができるため、さまざまなシチュエーションに対応できるようになります。

連続使用時間

連続使用時間はワイヤレスマイクが連続で駆動できる時間を指します。
受信機はACアダプタで駆動する製品が多いため、主には送信機の駆動時間がポイントとなります。

送信機の給電は単三電池を用いる製品とUSB充電を用いる製品に分かれます。
単三電池 2本を使用する製品は最大10時間程度使用できるものが多く、USB充電を用いる製品は最大5時間程度使用できるものが多いです。

単三電池を用いる製品は電池交換が容易で、現場での対応力に優れています。対してUSB充電可能な製品はモバイルバッテリーやUSBコンセントで充電できるため、オフィスなどで手軽に使えるというメリットがあります。

設定方法

ワイヤレスマイクは送信機と受信機の周波数を合わせるペアリングという作業が必要です。他製品で使用されている周波数を選択すると混信の恐れがあるため、上位モデルは周囲の電波状況をスキャンし、自動で空いている周波数チャンネルを選択するオートスキャン機能が搭載されています。

安価な製品では周波数固定のモデルやプリセットされた周波数から選ぶモデルが中心となりますが、複数のワイヤレス機器を使う場合などはオートスキャン対応のモデルを選択すると初心者でも簡単に混信のリスクを回避できるのでおすすめです。

マイクカプセルの違い

ワイヤレスマイクの送信機収音部分にはマイクカプセルが搭載されており、選択するマイクカプセルによって音質が異なります。

例えば、SHUREのBLX24シリーズではPGA58、SM58、BETA 58Aの3種類のマイクカプセルから選択可能となっており、有線マイクのPGA58、SM58、BETA 58Aと同じバリエーションになっています。

また、マイクカプセルは単品でも販売されており、上位モデルのワイヤレスシステムでは後からマイクカプセルを交換できる送信機も存在します。

コスパモデルのおすすめワイヤレスマイク

AKG WMS40 PRO MINI VOCAL SET

スペック

搬送波周波数	B帯　JP1：808.625MHz、JP2：809.125MH
到達距離	20m ※使用環境により異なる
周波数特性	40Hz～20kHz ※システム全体の帯域幅はマイクロホンにより変動。
同時使用台数	2台※

受信機

出力数	1
出力端子	標準フォーンジャック(3P)
電源	DC12V(0.5A)、電源アダプター(AC100V、50/60Hz)
寸法(W×H×D)	134×43×132mm(除突起部)
質量	466g

送信機

電源	単3形乾電池
電池寿命	アルカリ乾電池：約30時間 ニッケル水素充電池；約30時間 リチウム乾電池：約30時間 ※使用環境により異なる
寸法(φ×H)	53×228mm
質量	192g

コストパフォーマンスに優れたAKGのワイヤレスセット WMS40 PRO MINI VOCAL SET。レコーディング用マイクロホンでも評価の高いAKGのマイクを手軽にワイヤレスで使うことができます。

送信機と受信機の電源を入れると自動でペアリングされるため、難しい設定は不要で初心者でも簡単に扱えます。また、ハンドヘルド型送信機にはスライド式の電源スイッチを搭載しており、手元で簡単にON/OFF可能です。

会議、イベント、カラオケなどの用途で使いやすい、気軽に導入できるB帯ワイヤレスシステムです。

AKG WMS40 PRO MINI2 VOCAL SET DUAL

スペック

搬送波周波数	B帯　JP1：808.625MHz、JP2：809.125MH
到達距離	20m ※使用環境により異なる
周波数特性	40Hz～20kHz ※システム全体の帯域幅はマイクロホンにより変動。
同時使用台数	1台

受信機

出力数	2
出力端子	標準フォーンジャック(3P)
電源	DC12V(0.5A)、電源アダプター(AC100V、50/60Hz)
寸法(W×H×D)	134×43×132mm(除突起部)
質量	524g

送信機

電源	単3形乾電池
電池寿命	アルカリ乾電池：約30時間 ニッケル水素充電池；約30時間 リチウム乾電池：約30時間 ※使用環境により異なる
寸法(φ×H)	53×228mm
質量	192g

2ch受信機とワイヤレスマイク2本をセットにしたB帯のワイヤレスシステムAKG WMS40 PRO MINI2 VOCAL SET DUAL。2本のマイクを同時に利用できるため、様々なイベントで活用できます。

電源を入れるだけで送信機と受信機のペアリングが自動で完了するため、難しい設定などは不要でワイヤレスマイク2本を運用できます。また、送信機は単3形乾電池1本で約30時間駆動できるため、ランニングコストも抑えられます。

ライブやイベントでワイヤレスマイクを2本同時に運用する場合は、設置スペースや導入コストを抑えられる本製品を選択すると良いでしょう。

BEHRINGER ULM300MIC ULTRALINK

スペック

搬送波周波数	2.4GHz帯
到達距離	20～30m ※使用環境により異なる
周波数特性(±1dB)	20Hz～20kHz(アナログ入力～出力)
同時使用台数	2台

受信機

出力数	1
出力端子	XLR×1（バランス） 標準フォーンジャック(2P)×1（アンバランス）
電源	DC5V(1000mA)、電源アダプター(AC100V、50/60Hz)
寸法(W×H×D)	150×41×119mm
質量	240g

送信機

電源	単3形アルカリ乾電池×2
電池寿命	約8時間 ※使用環境により異なる
寸法(φ×H)	53×260mm
質量	300g

2.4GHz帯を使用したデジタルワイヤレスセットBEHRINGER ULM300MIC ULTRALINK。
デジタルならではの解像度の高い音質で講義、セミナーなどのイベント用途で使いやすいワイヤレスマイクです。

電源を入れれば送信機と受信機のペアリングが自動的に完了するため、複雑な設定は不要で初心者でも簡単に扱えるようになっています。

ハンドヘルド型送信機にはボリュームコントロールとミュート機能を搭載しており、手元で音量調整やミュートの切り替えを行えるため、イベントなどでも運用しやすいマイクです。

BEHRINGER ULM302MIC

スペック

搬送波周波数	2.4GHz帯
到達距離	30m ※使用環境により異なる
周波数特性(±1dB)	20Hz～20kHz
同時使用台数	1台

受信機

出力数	2
出力端子	XLR×2（バランス） 標準フォーンジャック×2（アンバランス）
電源	DC5V(1000mA)、電源アダプター(AC100V、50/60Hz)
寸法(W×H×D)	150×41×119mm
質量	250g

送信機

電源	単3形アルカリ乾電池×2
電池寿命	約8時間 ※使用環境により異なる
寸法(φ×H)	53×260mm
質量	300g

ULM300M ハンドヘルド型送信機2本とULM300RD 2ch受信機をセットにした2.4GHｚ帯デジタルワイヤレス BEHRINGER ULM302MIC。
ボーカルやスピーチに最適化したマイクカプセルを採用したワイヤレスマイクです。

デジタルならではの解像度の高い音質で2本同時にマイクを運用することができます。また、送信機、受信機は自動的にペアリングされるため、複雑な設定など必要ありません。

安価でワイヤレスマイクを2本同時に運用できるため、対談式のセミナーや各種イベントなどに便利な製品です。

スタンダードモデルのおすすめワイヤレスマイク

Shure BLX24/SM58

スペック

搬送波周波数	B帯
到達距離	約60m(標準環境における最大値)
可聴周波数応答	50Hz～15kHz ※マイクロホンのタイプにより異なる
同時使用台数	6台

受信機

出力数	1
出力端子	XLR 標準フォーンジャック
電源	DC12～15V(160ｍA)、電源アダプター(AC100V、50/60Hz）
寸法(W×H×D)	178×37.5×103mm
質量	204g

送信機

電源	単3形アルカリ乾電池×2
電池寿命	約14時間 ※使用環境により異なる
寸法(φ×H)	51×250mm
質量	312g

Shure SM58のマイクカプセルを搭載したハンドヘルド型送信機と据置型受信機がセットになったボーカル用ワイヤレスシステムShure BLX24/SM58。

プロ品質のサウンドであるSM58をワイヤレスで使用でき、音声信号伝送にはハイエンド・モデルにも導入されているShure 独自の音声圧縮技術「ARC(Audio Reference Companding)」を採用。有線マイクに匹敵する原音に忠実なサウンドを実現しています。

また、スイッチを押すだけで干渉の恐れの少ないグループ、チャンネルを自動的に検出するQuickScan機能を搭載しているため、ワイヤレス運用に不慣れな方でも簡単に取り扱うことができます。

高性能モデルのおすすめワイヤレスマイク

Shure BLX24R/B58

スペック

搬送波周波数	B帯
到達距離	約60m(標準環境における最大値)
可聴周波数応答	50Hz～15kHz ※マイクロホンのタイプにより異なる
同時使用台数	6台

受信機

出力数	1
出力端子	XLR 標準フォーンジャック
電源	DC12～15V(260mA)、電源アダプター(AC100V、50/60Hz）
寸法(W×H×D)	198×42×150mm
質量	840g（除アンテナ）

送信機

電源	単3形アルカリ乾電池×2
電池寿命	約14時間 ※使用環境により異なる
寸法(φ×H)	53×250mm
質量	264g

Shure BETA58Aのマイクカプセルを搭載したハンドヘルド型送信機とラックマウント型受信機がセットになったワイヤレスシステム Shure BLX24R/B58。

ハイクオリティなサウンドでミュージシャンから支持を集めるBETA58Aを手軽にワイヤレスで使用できるため、ライブイベントに最適なワイヤレスマイクです。

スイッチを押すだけで最も運用に適したグループ、チャンネルを自動的に検出するQuickScan機能を搭載しているため、初心者でも簡単に取り扱うことができます。

また、アンテナ出力端子を装備し、着脱タイプのアンテナを採用しているため、受信機前面や受信機から離れた場所にアンテナを設置できるほか、多チャンネル運用時はアンテナ分配器も使用できます。より様々なシチュエーションに柔軟に対応できる高性能なワイヤレスシステムです。